パートにも定年ってあるの?
2015/11/26

正社員や契約社員、アルバイト、パートなど、企業における雇用形態は多岐にわたります。中でも家庭事情などでフルタイム勤務が難しい場合には、勤務日数や時間などに融通が利くパートタイマーでの勤務を選択する方が多いのではないでしょうか?
正社員等の場合、長く勤務した後に定年を迎え、退職するという流れが一般的です。しかしながら、パートタイマーの定年についてはあまりご存知ではないかもしれません。ここでは定年制度に関する詳しい解説を踏まえながら、パートタイマーの定年についてご紹介しましょう。
1.定年とは?
そもそも定年という制度について、あまりよく知らないという方もいらっしゃることでしょう。定年とは、ある一定の期間(年齢)をもって退職することが決められているという制度です。この定年制度が設けられている場合、企業は就業規則にその旨を明記しなければなりません。
2.定年制度の変化
平成25年4月1日に、改正高年齢者雇用安定法が施行されました。これにより、定年制度にも変化が起きています。中にはこの改定で、定年となる年齢を65歳とすることが義務化されたと考えている人も多いようです。しかし、実際には65歳での定年が義務化されたわけではありません。
そもそも高年齢者雇用安定法によって、企業は「定年を65歳とする」「継続雇用制度を設ける」「定年を定めない」という、いずれかの対応を導入していることが求められています。その中で改定前までは、定年後の社員を引き続き雇用する「継続雇用制度」を導入している企業において、労使間協定によってその継続雇用対象者を限定することができました。高年齢者雇用安定法の改定では、この特別措置が廃止されます。つまり継続雇用制度を設ける場合、継続雇用を希望する社員全員をその対象としなければならないのです。
こうした背景から、定年となる年齢を65歳まで引き上げる企業が増えつつあります。また、企業によっては継続雇用制度を設け、65歳までの雇用期間における雇用条件の見直しを行うケースもあるようです。多くの場合、継続雇用期間については、給与等が以前の水準より下がる傾向にあります。尚、継続雇用制度において対象社員が雇用条件に合意しなかった場合、企業は継続雇用を必ずしも行う必要はありません。
3.パートタイマーにも定年はあるのか?
定年に関する規定は、就業規則に明記されています。この就業規則は、通常ですと正社員等の一般労働者にかかる就業条件が記されたものです。パートタイマーについて別途就業規則を設けている企業は、あまり多くないでしょう。
定年と聞くと、正社員等に対して設けられた制度として認識されている方が多いと思います。では、パートタイマーに対しても定年は適用されるのでしょうか。結論から言うと、正社員等と比べて労働時間が短いパートタイマーについて、基本的に就業規則で規定されている定年は適用されない場合がほとんどです。
パートタイマーで勤務する場合、勤務期間をあらかじめ定められることがあります。継続して勤務する場合には契約更新が必要であり、その契約に準じて勤務することとなるのです。そのため、期間の定めがない正社員等の一般労働者と同じ就業規定は、適用されないこととなります。しかし一部の企業では、パートタイマーに対しても就業規則が設けられ、定年を規定している場合があるようです。
4.最後に
パートタイマーと言っても、その定義は会社によって異なります。契約内容や勤務日数等も、勤務先によって異なるでしょう。
例えばパート期間の契約更新時、期間・条件等を明記した契約書面を交わしていない場合、パートタイマーとはいえその雇用期間が定められていないものとなります。そうなれば、パートタイマーを「期間満了」により解雇することはできませんので、正社員等のように定年制度が必要となる可能性があるでしょう。実際、パートタイマーに対して定年を含む正社員の就業規則が適用されたものが、過去の判例として認められています。
現在パートタイマーとして働いている方、あるいは今後パートタイマーとしての勤務を考えている方は、勤務先の企業でどのような制度が設けられているかを確認してみてください。
●「高年齢者雇用安定法の改正~「継続雇用制度」の対象者を労使協定で限定できる仕組みの廃止~」厚生労働省
HP:http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/koureisha/topics/tp120903-1.html










