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パートタイム労働の扶養控除とは

2015/03/04

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家計を助けたり自分のお小遣いを稼いだりと、パートタイムで働く目的は様々かと思います。しかし、扶養控除について理解せずに仕事をすると、税金などの支払いが増え、結果的に手元に残るお金が減ってしまう事もあります。
今回は、パートタイムで働いたときの税金等の負担額がどう変わるのを説明します。

1.扶養控除とは何?

扶養控除とは、収入が少ない主婦や学生、高齢者と生計をともにする納税義務者が、収入から一定の所得控除を受けられるしくみの事です。控除の対象になる人は「控除対象扶養親族」と呼ばれており、その年の12月31日に16歳以上の年齢かつ、以下の条件を満たした方が該当します。

・配偶者以外の親族
・納税者と生計を一にしていること。
・年間の合計所得金額が38万円以下であること。
・青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと。

控除対象扶養親族の人がパートタイムで働くと、扶養控除の対象外になってしまうことがあります。すると、その世帯で主な収入を稼いでいる人の支払う税金が増え、結果的に世帯収入が下がる場合があります。

2.年収別で考えてみる

パートタイムで働いたからと言って、必ずしも控除対象扶養親族から外れてしまうわけではありません。控除対象扶養親族となる条件は、年収が103万円以下 であること。給与所得を得ている人は、給与所得控除額(65万円)と基礎控除(38万円)が適用されるため、 収入を得ていないとみなすことができるからで す。

ここでは、A(サラリーマンの夫)とB(パートタイムで働く妻)という事例をもとに、年収別に給与所得と税金や社会保障の支払いを見てみましょう。

◎103万円以下

Bは控除対象扶養親族に該当するため、Aの給与所得に38万円の控除が適用されます。一般に、Bのようにパートタイムで働く人が毎月の給与所得を調整する理由は、扶養家族の枠を外れないようにするためです。
年間103万円以下の収入でBが働いている限り、所得税や復興特別所得税を課せられることはありません。ただし、100万円以上給与所得がある場合、数千円程度ですが住民税(均等割)が発生するため、あらかじめ確認しておきましょう。

◎103万円以上130万円未満

Aの給与所得に配偶者控除が適用されなくなります。ただし、Aの合計所得が年間1,000万円(給与収入1,231万円)を下回る場合、AはBの収入に応じて配偶者特別控除を受けることができます。

<収入と控除額>

・103万円超105万円未満 …38万円
・105万円以上110万円未満…36万円
・110万円以上115万円未満…31万円
・115万円以上120万円未満…26万円
・120万円以上125万円未満…21万円
・125万円以上130万円未満…16万円
・130万円以上135万円未満…11万円
・135万円以上140万円未満…6万円
・140万円以上141万円未満…3万円

◎130万円以上

130万円以上Bが稼ぐと、今までAが負担していた社会保険をBが自身で支払うことになります。健康保険料と国民年金保険料の負担が年間20万円程度かかるため、130万円をわずかに超える場合は手取り収入が減ってしまうのです。

3.世帯年収を考えてみる

前項に引き続きAとBの家庭を例にし、今度はBのパート収入が与える世帯収入への影響について考えてみましょう。

◎103万円未満

Bのパート収入は全額世帯収入に上乗せとなります。Aの給与所得に配偶者控除が適用されるため、Aが支払う税金や社会保険に影響が出ないからです。 

◎103万円以上130万円未満

所得税と住民税の支払いがBに課せられるのですが、これらはBの所得金額に応じて税率が決まるので負担はそれほど増えません。また、夫は年収1,000万円以下であれば配偶者特別控除を受けられるため、極端に税金が増えてしまうわけではありません。

◎130万円以上

Aの社会保険上の扶養家族からBが外れ、B自身に社会保険の支払い義務が生じます。年間保険料が20万円程度になる為、Bの所得が140万円あるにも関わらず、実質120万円しか世帯収入が増えていないのと変わりません。

4.最後に

年間の給与所得が103万円未満の場合、パートタイムで得たお金は全額世帯収入に上乗せされます。しかし、103万円以上の給与を得るとさまざまな税金がかかるため、結果的に手元に残るお金が減る事になります。パートタイムで得る年収と税金や社会保険の負担を考え、世帯収入全体を増やすことを意識しましょう。

●No.1180 扶養控除|所得税|国税庁
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1180.htm
●Q11 「扶養控除等申告書」に記載する「控除対象扶養親族」って?
https://www.mikagecpa.com/archives/1468/
●家族と税|税について調べる|国税庁
https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/koho/kurashi/html/02_2.htm
●No.1190 配偶者の所得がいくらまでなら配偶者控除が受けられるか|所得税|国税庁
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1190.htm